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マスク着脱、きょうから「個人の判断」 強制しないよう配慮必要
医療サイト 朝日新聞アピタルより抜粋
2023年3月13日 6時00分
マスク着用の考え方
新型コロナウイルス対策としてのマスク着用が、13日から屋内外を問わず「個人の判断」に委ねられた。医療機関の受診時や、混雑した電車・バスの乗車時などは引きつづき着用が推奨されるが、日常の生活では基本的にひとりひとりが着用するかを決める。
まだ着けた方がよい場面は
政府はこれまで、他人とおおむね2メートル以上の距離が取れない場合にマスク着用を推奨してきた。
13日からは、
高齢者ら重症化リスクが高い人への感染を防ぐため、着用の推奨は、① 医療機関の受診時 ② 医療機関や高齢者施設への訪問時 ③ 通勤ラッシュなど混雑した電車・バスに乗車する時――の三つの場面に限定する。
また、感染の流行時、重症化リスクの高い人が混雑した場所に外出する場合は、身を守るために着用が効果的だと呼びかける。
学校では、4月1日から着用を求めないことを基本とする。
各業界団体は、13日までに感染対策のガイドラインを改訂した。JRや私鉄各社でつくる「鉄道連絡会」は、利用者に対してマスク着用の協力を呼びかける項目を削除した。
加藤勝信・厚生労働相は10日、マスク緩和を前に「これを一つのきっかけに経済や社会活動が元に戻り、さらに発展にもつながっていけばと思っている」と述べた。
重要な感染対策に変わりはない
一方で、厚労省は「マスクはこれまでと変わらず重要な感染対策の一つだ」と強調する。新型コロナは無症状や発症前の人が感染を広げることが多いためだ。厚労省の専門家組織も、5類移行後の「新たな健康習慣」を公表し、そのなかで「外出時はマスクを携帯し、必要に応じて着用」などと示した。
このため、政府は不特定多数の人が集まる公共交通機関や飲食店などを念頭に、「事業者が利用者や従業員にマスク着用を求めることは許容される」との考えを示した。
ただ、どのような場面でも、本人の意思に反してマスクの着脱が強いられることがないよう配慮を呼びかけている。
かつては「アベノマスク」「マスク警察」
マスク着用は、コロナの流行が本格化した2020年から、手洗い、3密回避などと並ぶ基本的な感染対策の一つとして、政府が呼びかけてきた。
食事や運動など生活のあらゆる場面で定着し、一時は品薄となった。政府は多額の税金を投入し、「アベノマスク」を全戸配布した。市民同士で着用しない人を見つけ出す「マスク警察」という造語も生まれた。
22年、オミクロン株の出現などによって感染による重症化率が下がると、熱中症リスクなど着用による負の側面も注目されるようになった。
とりわけ、子どもの発育への影響を懸念する声が強まり、同年5月、厚労省の専門家組織は「社会的要請が高まっている」として、外しても感染リスクが低い場面を例示。政府も「屋外で会話がなければマスクは不要」と発信するようになった。
そして今年1月、政府は5月8日からコロナを感染症法上の5類に引き下げることを決定。あわせて基本的な感染対策についても見直し、2月、マスクは5類移行に先立って緩和する方針を示した。(神宮司実玲、枝松佑樹)
朝日新聞デジタルより抜粋
新型コロナ、後遺症の一因は細胞老化? 炎症起こす物質まき散らす
新型コロナウイルス
瀬川茂子2022年1月27日 8時00分
新型コロナウイルスに感染すると、ウイルスが消えてからも倦怠(けんたい)感や頭痛、脱毛などの後遺症が起こることが少なくない。大阪大微生物病研究所の原英二教授らのグループは、感染により細胞の「老化」が促され、老化した細胞が周囲に炎症を引き起こすことを動物実験で突き止めた。この炎症が後遺症の一因となっている可能性を示した。
グループは「細胞老化」を研究してきた。細胞老化とは、傷ついた細胞が増殖を止めて生き続け、周辺に炎症を起こす物質をまき散らす現象で、がんや動脈硬化など、老化に伴うさまざまな病気の原因になることが知られている。
新型コロナの後遺症にも炎症がかかわると報告されているため、細胞老化との関係を調べることにした。
ヒトの培養細胞などに新型コロナウイルスを感染させたところ、多くの感染細胞は数日以内に死んでウイルスも消えた。ところが、感染細胞は死ぬ前に、周囲に細胞老化を促す物質を出していることが判明。周囲の老化した細胞は生き残り、炎症を起こす物質をまき散らした。
さらにハムスターにウイルスを感染させて観察すると、ウイルスが消えた後も、肺の老化細胞から炎症を起こす物質が出続けていることがわかった。重症の新型コロナ患者の肺でも老化細胞から炎症を起こす物質が出ていると確認した。
新型コロナウイルスに感染したマウスに、老化した細胞を取り除く薬を与えると、肺の炎症が抑えられることもわかった。
感染が引き金となって細胞の老化が起こり、炎症が続くことが、後遺症の一因とみられる。「ただ、老化細胞は悪さをするだけでなく、感染を防ぐなどいい面があるかもしれない。単純に老化した細胞を除けばいいというものではない」と原教授は話している。
論文は英専門誌ネイチャーエイジングのウェブサイト(https://www.nature.com/articles/s43587-022-00170-7 )に掲載された。(瀬川茂子)
医療サイト 朝日新聞アピタルより抜粋
<急増する自宅療養、家庭内感染を防ぐには… 酸素飽和度の急変も注意>
オミクロン株新型コロナウイルス
編集委員・辻外記子、野口憲太2022年1月12日 19時30分
新型コロナウイルス感染症は、感染力の強い変異ウイルス「オミクロン株」の影響もあって急拡大し、自宅で療養する人の数も増えている。自宅療養になったときに何に気をつければいいのか。感染に備えてできることは何か。
自宅療養者への医療支援事業を東京都や大阪府など18自治体から委託されているファストドクター代表の菊池亮医師によると、疑い例などを含めた対応患者のPCR検査の陽性率は年明けに5%に、3連休中は20%に上がった。菊池さんは「市中感染が広がり、ワクチンを2回接種した人も感染している。感染対策をいま一度、徹底してほしい」と注意を促す。
オミクロン株の感染者は当初、全員入院させる方針だったが、厚生労働省は条件を満たせば、自治体の判断で宿泊施設や自宅での療養もできるとした。全国で今後さらに、自宅療養者が増えると見込まれる。
「重症化しにくい」データもあるが… 自宅療養の注意点
オミクロン株はデルタ株と比べても、家庭内感染しやすいと報告されている。
都のハンドブックは、
▽自宅での感染予防として部屋をわける
▽感染者の世話は限られた人で
▽感染者、同居者は互いにマスクをつける
▽こまめに手を洗う
▽換気
▽ごみは密閉して捨てる
――など八つのポイントをあげる。
ただ、狭い住居では、生活空間をわけるのは難しい。昨年2月から京都府と連携して自宅療養するコロナ患者約250人を往診してきた、よしき往診クリニック(京都市西京区)の宮本雄気医師は、家庭内感染を防ぐためには「高齢者ら重症化リスクの高い人を優先して個室にいれて。それも難しければ、保健所に相談を」と助言する。
寒い今の季節は、窓をあけての換気も簡単でない。食事を運ぶなどのため、同居人が、感染者がいる部屋に入室する1時間ほど前に重点的に換気するのも一つだ。換気扇のほか、HEPAフィルターのついた空気清浄機の活用もおすすめという。
脱水を防ぐため、水分を多めにとる。血流をよくし血栓を防ぐには、ふくらはぎのマッサージや室内を歩くなどの軽い運動が有効だ。
オミクロン株の「病原性」は低くて重症化しにくいというデータもあるが、一定の割合で重症者はでてくる。悪化の兆候を早めにとらえることが重要なのはこれまでと変わらない。
保健所などから届く「パルスオキシメーター」で測る酸素飽和度が93%以下だと酸素吸入が必要になる。菊池さんは「90台前半を目安とし、前日から急に下がれば注意が必要」。パルスオキシメーターがなければ、呼吸回数が参考になる。「1分間に20回を超した場合には気をつけて」と話す。宮本さんは、軽い運動後の酸素飽和度の変化をみてほしいという。「パルスオキシメーターをつけて40歩ほど歩いて3、4ポイント以上下がれば肺炎が疑われる」。これらの場合は、健康観察をする医師や保健所に伝えることが重要だ。
感染を防ぐには、ワクチンの追加接種が有効とされる。だが3回を終えた割合は、全人口の0・8%。軽症者も対象とする新たな薬が複数登場したが、抗体カクテル療法のロナプリーブはオミクロン株の感染者には推奨されていない。昨年末に特例承認された待望の飲み薬モルヌピラビルも、重症化リスクのある人が対象で、現状は使える数に限りがあり、感染すれば誰もが使えるわけではない。
感染に備えて経口補水液やスポーツ飲料、レトルトのおかゆや缶詰など簡単に食べられる物や、普段のんでいる薬、解熱鎮痛薬、トイレットペーパーやティッシュペーパーなどの日用品などがあるか確認しておくことも大切になる。(編集委員・辻外記子、野口憲太)
医療サイト 朝日新聞アピタルより抜粋
<オミクロン株、いま分かっていること 重症度やワクチン効果を解説>
2022年1月18日 19時17分
オミクロン株のスパイクタンパク質のイメージ図。 オレンジ色はヒトの受容体(左上の緑色の塊)や抗体との結合に関わると考えられる変異の場所。 青色や水色はその他の変異の場所=CoVsurverを使って作図。 |
オミクロン株、いま分かっていること
世界で急速に感染を広げている新型コロナウイルスのオミクロン株。感染力はどのくらい強いのか、かかっても重症になりにくいというのは本当か。いまのワクチンは効かないのか――。現時点でわかっていること、わかっていないことをQ&A形式でまとめました。新たな情報が明らかになるのにあわせて随時、更新していきます。
軽症多い? 現段階では楽観せずに
Q オミクロン株に感染すると、どれくらいの症状が出るの?
軽症の人が多いという話をよく聞くけど?
A 確かに、入院のリスクが低いといった報告が多い。ただ、データはまだ十分とはいえず、現段階では楽観することはできない。
南アフリカのハウテン州は、主にオミクロン株によって「感染第4波」に見舞われた。しかし、南アの研究チームの報告によれば、感染者数が大きく増えた割に入院者や死亡者の割合は比較的低めで、感染者数に伴って入院や死亡も増加した第3波までとは傾向が異なっている。
同国で民間の病院を運営するグループは、第4波で入院した2351人と、第3波で入院した6342人の特徴などを比べ、2021年12月30日に米医師会誌に報告した。第4波で酸素の補給を必要とした人の割合は17.6%で、第3波の74.0%と比べて大幅に低かったという。第4波での患者の年代層は第3波よりも若かった。
南カリフォルニアの医療データを使ってオミクロン株とデルタ株を比較した論文によると、21年11月末から22年1月1日の約7万人の患者を分析したところ、オミクロン株に感染したとみられる人が入院したのは0.5%で、デルタ株の1.3%に比べて低かった。また、オミクロン株の場合、デルタ株に比べ、入院期間は3.4日短かった。
英国などからも、オミクロン株による入院者の割合はデルタ株よりも低いという報告が相次いでいる。
こうしたことから、オミクロン株によって引き起こされる感染者の症状の重さ、つまりオミクロン株の「病原性」は、さほど高くはないのではないかという見方が少なくない。
香港の研究チームが、人の気管支の組織で調べたところ、オミクロン株はデルタ株に比べてウイルスの複製がはるかに速く進んだ一方で、肺の組織では大幅に遅かったという。軽い症状の人が多い理由の一つではないかとされている。
動物実験でも、日本からの発表を含めて、オミクロン株はデルタ株よりも病原性が低そうだとする研究結果が複数出ている。
しかし、これまで知られている感染者は、すでにワクチンを規定通り2回うっていたり、1度新型コロナにかかって再感染したりした人が多い。
こうした人たちは、体に備わった免疫機能によって、コロナの重症化が避けられているのかもしれない。
感染者の多くは若者で、やはり高齢者らに比べて重症化する割合が低いといった面がある。「酸素補給を必要とする人の割合が低い」とする南アの報告には、第4波で入院した人の年代層が若いことが関係しているかもしれない。
病原性に関する研究の多くは、専門家の審査を受けていない「査読前論文」として発表されている。このため今後、内容が修正されていく可能性もある。
オミクロン株は、過去の変異ウイルスに比べて感染力が強い。病原性が仮にさほど高くなかったとしても、感染力の強さによって患者が多くなれば、一定の割合で重い症状を起こす人も増えていくと考えられる。
米国では、子どもの入院事例が急増しているとされ、ワクチン接種の対象になっていない5歳未満の入院も増えている。米疾病対策センター(CDC)によると、22年1月1日までの1週間では新型コロナに感染して入院した人は5歳未満で10万人あたり10.2人となり、過去最多になった。翌週は同7.8人と少し減少したが、高い水準が続く。CDCは「周りの人たちがワクチンを接種し、子どもたちを守ることが非常に重要だ」と指摘している。
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は1月6日の会見で「過去の変異ウイルスと同様、オミクロン株も人々を入院させ、死なせている」と強調した。
今後、重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある人、ワクチンを接種していない人たちに感染が広がり、重症者がさらに増えていく恐れがある。
欧州疾病予防管理センター(ECDC)は1月7日、感染力の高いオミクロン株が広がることで、「医療従事者やエッセンシャルワーカーを含む多くの人の欠勤を招きかねず」、「医療システムや社会に大きな負担がかかることが予想される」との見解を示した。
症状が軽くても、医師をはじめとする医療関係者、社会のインフラを支える立場の人たちは、感染したら仕事を休まざるを得ない。その結果、病院が受け入れられる患者の数が減り、ライフライン事業者が活動の縮小を迫られるなどして、社会機能の低下を招きかねない。
後遺症への懸念もある。
疲労感や息苦しさ、筋力低下といった症状が長く続く後遺症は、軽症だった患者に起きることも少なくないことが、これまでの感染例で指摘されている。感染力の強いオミクロン株が広がることで、後遺症を抱える人も増えてしまうのではないか、といった見方が海外では報じられている。
「持続可能だとは思えない」WHOが声明
Q オミクロン株にどう備えたらいい?
A 現段階では、3回目のワクチン接種を確実に進めることが最も重要だ。
英健康安全保障庁は2021年12月31日、3回目のワクチン接種の有効性に関するデータを更新した。
米ファイザー製や米モデルナ製の2回目接種から20週間たった段階では、発症予防でみたオミクロン株に対するワクチンの有効性は10%程度でしかなく、約60%かそれ以上に保たれたデルタ株に比べて大幅に低かった。それが、3回目の接種をして2~4週の段階では、効果は65~75%ほどに上昇したという。
これは、単純に「100人のうち65~75人が発症を防げる」という趣旨ではなく、3回接種した人はそうでない人と比べ、オミクロン株に感染して発症する割合が65~75%低くなる、という意味になる。
ただ、このデータだと、3回目接種後の有効性は、うってから10週間以上たった段階では50%ほどに落ちていた。
3回目接種の有効性が、オミクロン株ではより早く低下する恐れがあり、4回目以降の接種についても検討の必要性を指摘する声が上がった。
これに関して、世界保健機関(WHO)の諮問委員会は22年1月11日、「元のワクチンの組成のまま追加の接種を繰り返す戦略が、適切で持続可能だとは思えない」とする声明を発表した。
現在のワクチンは、中国・武漢で検出された初期のウイルスの情報をもとにつくられている。諮問委員会の声明は、「流行している変異ウイルスに対応し、重症化や死亡に加えて、感染もより効果的に防げるような、広く、強く、長期間にわたり免疫反応を誘導できるワクチンが必要」とも述べ、オミクロン株などに対応した新たなワクチンの開発を促す形となった。
一方、現行のワクチンを3回うつことで重症化を防ぐ効果は、比較的長く続くようだ。
英健康安全保障庁は1月7日、65歳以上の人についての追加ワクチンの効果を発表した。アストラゼネカ製も含めて、メーカーを問わずに入院を防ぐ効果を全体的にみると、有効性は接種から2~9週で94%、10週以降も89%に保たれていた。
当面、世界の保健当局は、いまあるワクチンによる追加接種を急いでいる。
日本では当初、2回目の接種から8カ月後に3回目の接種をすることにしていたが、オミクロン株の感染拡大に備えて、前倒しして接種する対策を進めている。
海外でオミクロン株に感染した人の中には、すでに追加のワクチン接種を受けていた人も少なくない。マスクなどの基本的な対策は、3回目を受けた後も引き続き、必要となりそうだ。
何らかの事情でワクチンをうてない人や、ワクチンの接種対象にならない年齢の子どもたちをいかに感染から守っていくかについても、考えていく必要がある。
オミクロン株の影響を受けにくいとされ、発症から早期に使うことが求められているモルヌピラビルなどの抗ウイルス薬を、いかに確保し、有効に使うかも大きな課題だ。
オミクロン株の感染力
Q オミクロン株は感染力が強いの?
A これまで主流だったデルタ株よりも明らかに強く、これまでデルタ株が流行していた世界の多くの地域で、オミクロン株がデルタ株に置き換わる形で広がっている。
2022年となった段階で、英国や米国では95%以上がオミクロン株が占めたと推定され、ほかの多くの国でもオミクロン株が主要なウイルスとなっている。
米疾病対策センター(CDC)は22年1月4日、北海道大などのチームによる研究結果を引用する形で、「オミクロン株はデルタ株に比べ、感染力が最大で3倍強い」とする見方を明らかにした。
英インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは21年12月16日、一度感染した人が再びかかる再感染のリスクが、オミクロン株はデルタ株に比べて5.4倍高いと発表している。
日本でも、海外渡航歴がなく、感染経路が不明の「市中感染」が12月に明らかになった。年が明けてからは各地で感染者が急増しており、厚生労働省のまとめによると、22年1月3~9日の段階で、新規感染者の84%がオミクロン株の疑いに該当した。
「感染力が強い」といっても、ウイルスの広がる力それ自体が強い場合もあれば、ワクチン接種や過去の感染によって人の側に備わった免疫機能をすり抜けやすいために、人々の間でどんどん広がっていく場合もあり、感染力の詳しい正体はまだよく分かっていない。
これまでの研究で、オミクロン株は免疫を逃れやすいことが大きな特徴として明らかになっている。WHOは、オミクロン株が急速に広がる理由の少なくとも一部は、この特徴によるとみている。
韓国からの報告によれば、1人目の発症から2人目が発症するまでの間隔は、オミクロン株では平均2.22日で、3.26日とされたデルタ株よりも短かった。
また、症状のない状態で感染の判明する人の割合が、オミクロン株が流行する地域ではそれ以前の時期よりも高いとする報告もある。こうした点も、強い感染力につながっている可能性がある。
最初にオミクロン株の存在を報告した南アフリカでは最近、感染者数の減少がみられている。WHOは1月7日の報告書で、「南アはオミクロン株による流行がピークに達した可能性がある」との見解を示した。
ただし、南アの国立伝染病研究所(NICD)は「この減少は、休暇期間中に検査数が減ったことも関係しているようだ」としている。
ワクチン2回接種だけでは……
Q オミクロン株に、現在のワクチンは効果がないの?
A 標準的な2回の接種だけでは、発症を抑える効果は大きく落ちてしまいそうだ。
オミクロン株はとりわけ、表面のとげのような部分である「スパイクたんぱく質」の遺伝子にたくさんの変異がある。スパイクたんぱく質はウイルスが人の細胞に感染する際、最初にくっつく部分だ。
ワクチンはこのスパイクたんぱく質を標的にしてつくられている。ワクチンをうつと体内で抗体というたんぱく質ができ、スパイクたんぱく質に取りつくことで、ウイルスが細胞にくっつくのを邪魔する。
ところが、スパイク部分に多くの変異があることで、ウイルスが抗体をすり抜け、細胞にくっつきやすくなってしまうと考えられている。
米ファイザー社などが、オミクロン株のスパイクを持たせた人工的な疑似ウイルスを使い、自社のワクチンを2回うった人の抗体の効き目を調べたところ、最初に登場したウイルス株と比べて、オミクロン株に対する抗体の効果は平均で25分の1に落ちていたと発表している。
英国での調査でも、2回接種して数カ月たった人のオミクロン株へのワクチンの有効性は、デルタ株と比べて大幅に低くなっていたことが分かっている。
多くの研究者は、「2回の接種でオミクロン株による発症を防ぐ効果はかなり落ちるものの、かかったときの重症化はある程度抑えられるのではないか」と推測している。ワクチンによってできる免疫機能には、抗体で感染を防ぐだけでなく、ウイルスが感染した細胞を排除する働きもある。
ワクチンだけでなく、やはり感染を防ぐ作用がある「抗体医薬」という治療薬も、効かなくなる恐れが指摘されている。
日本でも2021年7月に特例承認された抗体医薬「ロナプリーブ」を開発した米リジェネロン社は12月16日、ロナプリーブについて「オミクロン株に対しては効力が低下する」との声明を発表した。
抗体の働きを調べた実験の結果で、実際の患者への効果の有無をみたわけではないが、厚生労働省は12月24日、「患者がオミクロン株に感染している場合、ロナプリーブは推奨されない」とする通知を出した。デルタ株への有効性は変わらない。
抗体医薬は、一度新型コロナにかかって回復した人の体内でできた抗体の情報などをもとに、人工的に抗体を増やし、点滴するなどして使う。ウイルスが細胞にくっつくのを邪魔することで、感染した人の重症化を防ぐのが主な目的だが、ワクチンと同様、ウイルスが抗体をすり抜けてしまう恐れが指摘されていた。
なお、最近国内でも特例承認された飲み薬「モルヌピラビル」や、重症化した患者の治療に使われるステロイド薬などの効き目は、オミクロン株による大きな影響は受けないのではないかと考えられている。
コロナ禍の熱中症対策 湿度が重要、暑さ指数を参考に
朝日新聞アピタルより抜粋
2021年7月10日 9時00分
7月に入ると本格的な夏がやってくる。このところ、毎年のように各地で観測史上最高の暑さを記録したというニュースを聞く。本当に今年が1番暑い夏なのかはともかく、今は新型コロナウイルスの流行でまだマスクは手放せそうにない。熱中症対策はどうすればいいのだろう。
本当に近年暑くなっているのか、まずは気象庁のデータで確認してみた。今から140年前の1881年8月、東京の最高気温の平均は何度だろうか。
答えは31度。前後の年の8月と比べると、この年は少し高かったようだ。1920年ごろまで、8月の最高気温の平均が30度になることは少なかったが、その後は30度を超える年がだんだん増え、2000年以降は記録的な冷夏だった03年以外は30度超えが続き、20年は34・1度に達し、記録上は暑くなっているようだ。今と140年前のデータを単純に比べることについて、「1日あたりの観測回数は違うが、専門的に解析しない限りは比べても問題ない」(気象庁の担当者)という。この近年の猛暑で、「熱中症」という言葉は広く知られるようになった。
熱中症の基準は、気温だけでは決まらない。国は「暑さ指数(WBGT)」を取り入れている。最高気温が同じでも、湿度が高い日のほうが救急搬送される人は多い。暑さ指数は気温や湿度、周囲の熱環境を考慮した指標で、28以上になると熱中症で搬送される人が増え、31以上だと運動は原則中止だ。
今年4月、「熱中症警戒アラート」が全国で始まった。
熱中症の危険が高いと予想される日の前日夕方や当日朝に発表される。
この指標を参考にして、昼間の外出をするかを判断するといい。
熱中症にならないためには、1日あたり1・2リットルの水分をとり、早めに冷房を使う。
暑くなり始めの時期から適度に運動をして暑さに備えることもおすすめだ。
新型コロナのワクチン接種は広く打ち終えるまで時間がかかるので、マスクはまだ欠かせない。
埼玉県が昨年8月、30歳前後の男性がマスクをしたまま運動をする実験をしたところ、マスクの有無で心拍には大きな差がなかったが、マスク部分の表面温度は顔の他の部分より3度高くなって、参加者は明らかに不快と感じたという。
環境省などは、屋外で他の人と2メートル以上離れている場合は、マスクをはずすことを推奨している。
熱中症にかかったとき、救急車を呼ぶ基準にも気をつけたい。
総務省の統計によると、6~9月の熱中症による全国の救急搬送者は、18年は約9万3千人、19年は約6万7千人、20年は約6万5千人。厚生労働省によると、熱中症による死者数は18年が約1500人、19年は約1200人に上る。
熱中症に詳しい帝京大の三宅康史・高度救命センター長は「市民の熱中症に対する意識が高まっているのは良いことだが、軽症で救急搬送されてくる人が増えている」と話す。
① 意識に異常がみられるならすぐに救急車を呼ぶ。
② 意識があるなら、まず水分を自力で飲ませる。
三宅さんは「自力で飲めないときや飲めるのに良くならないときは、医療機関に連れていくが、場合によっては自家用車を使ってほしい」。
今年の暑さはどうだろう。民間気象情報会社「ウェザーニューズ」が6月に発表した予想によると、二つの高気圧が重なる時期には猛暑となり、東日本と近畿地方は平年よりやや高く、その他の地域でも平年並みかやや高めという。(後藤一也)
「しゃべる」「くしゃみ」「せき」に注意 感染防ぐ肝は
2021年5月14日 9時00分
【島根】新型コロナウイルス感染拡大の「第4波」で、山陰両県でも変異株が出現している。
ウイルスを恐れすぎず、正しく感染対策をしていくにはどうしたらいいのか。
感染が広がる仕組みと予防策について、景山誠二・鳥取大学医学部医学科感染制御学講座ウイルス学分野教授に聞いた。
世間には、パンについたカビや食品を腐らせるバクテリアのように、
ウイルスがどこでも増えるという誤解があるように思う。
ウイルスは、生き物の体内の細胞にくっついて細胞の中に入り込み、
その細胞内でしか増えられない
という基本を押さえて欲しい。
では、新型コロナウイルスは、どのように感染を広げるか。
感染した人の体内で細胞への感染を繰り返し、感染の繰り返しで増えたウイルスが、
つばとともに体外へ出ていくことでおこる「飛沫(ひまつ)感染」が主な感染経路となる。
飛沫がどこから出るかというと、鼻というより口だ。
主に「しゃべる」「くしゃみ」「せき」の三つのどれかで
ウイルスを包んだ飛沫が口から外に飛び、他人の鼻や口から入り込めば感染する。
いったんウイルスに感染すると、感染者の体内では、鼻の奥、のどの奥、気管支、肺へと、
ウイルスは細胞内で増えてはまた別の細胞に感染することを繰り返し、体内に深く進む。
厄介なのは、
肺の中で酸素と二酸化炭素の交換の場となる「肺胞」でウイルスが一気に広がり、
感染者の一部で急に重篤な肺炎症状を示すことだ。
現在は感染の有無のみを調べている検査でも、ある程度ウイルス量を把握できる。検査でウイルス量を測る体制がとれれば、重症化リスクが高いと予測できるウイルス量が多い患者を見つけられるのではないかと思う。
新型コロナウイルスは、
感染者の血液中にウイルスがでて血管内皮細胞にくっつくことも分かっている。
血液にのって全身に流れる中で、呼吸器系に限らず、
ウイルスに抵抗する免疫反応が過剰に反応してしまった場所でさまざまな不調をきたしてしまう。
血栓症にも関わっているだろう。 現在、感染力が高い変異株が恐れられている。
新型コロナウイルスは変異しやすいとされるが、それは感染が膨大に繰り返される中で生じるもの。
感染者数のすくない山陰で「鳥取株」や「島根株」が生じることはまずありえない。
主な感染経路が飛沫感染ということを考えれば、これまで通り、
距離を2メートルほどとることやマスクの着用など、
人との接触をなるべく減らすことで感染予防できる。
変異株は「細胞にくっついて感染しやすいから増えやすい」のであって、
「変異株だからより遠くへ飛んでいく」なんてことはない。
接触感染を心配するむきもあるが、
手洗い、それも口や鼻に触れる可能性の高い指先をしっかりと洗うことで十分防げる。
山陰両県は、大都市との距離がある程度とれていることや、
順法精神のある県民性のためか、感染者数は抑えられている。
変異株だからと特別なことをする必要はなく、これまで通りの感染予防対策をとって欲しい。
(聞き手・長崎緑子)
しゃべりにマスク必要なわけ マイクロ飛沫の生まれ方
朝日デジタルより抜粋
2021年5月5日 16時00分
新型コロナウイルスは
なぜ、無症状の感染者がしゃべるだけで感染が広がるのか。
インフルエンザのようにくしゃみやせきで広がるだけでなく、ウイルスを含んだ細かな飛沫(ひまつ)が会話するだけで飛び散るからだと考えられ、対策としてマスクが重要とされている。この飛沫はそもそも、どこでどうやって生まれるのだろうか。
会食の席でマスクを外して会話を楽しむことが、感染の原因になっている。厚生労働省の職員23人が3月24日に東京・銀座で深夜まで送別会を開き、後に複数の感染者が確認された。参加者はマスクを外したままだったという。送別会の席で、目に見えないほど小さい飛沫が漂い、その中に含まれていたウイルスによって感染した可能性がある。
シャボン玉みたいに、はじけてできる?
この飛沫はどうやって生じるのか
新型コロナでの研究は途中だが、コロナウイルスの仲間が引き起こす病気の研究で、その仕組みが明らかになっている。2002~03年に猛威をふるったSARS(サーズ)(重症急性呼吸症候群)だ。
豪クイーンズランド工科大学の研究者らは、実験参加者に息を止めたり、深く呼吸したりしてもらって観察した成果を09年、呼吸研究の専門誌に報告している(https://doi.org/10.1089/jamp.2008.0720 )。
報告によると、専門家は「シャボン玉のように体内で泡がはじける仕組み」を推定している。
飛沫の発生源となる泡は、口や鼻から吸い込んだ息を肺に届ける「管」の中で発生していると考えられている。
気管が枝分かれした細気管支(さいきかんし)と呼ばれる細い管が呼吸とともに収縮したり拡張したりする時に、粘膜の表面にできた泡や、管をふさいだ粘液の膜がシャボン玉のようにはじけ、小さな飛沫ができるという。
感染症に詳しい近畿大学の宮澤正顯(まさあき)教授(ウイルス感染免疫学)によると、こうした仕組みで発生した小さな飛沫による感染は、新型コロナでも起きていると考えられている。
「普段の呼吸でも、気管支の細い枝には高速で空気が流れ、表面の粘液が波立ったり、泡がはじけたりして小さな飛沫ができる。新型コロナ感染者の粘液にはウイルス粒子が含まれているので、小さな飛沫に乗ってウイルスが体外に運ばれる」
宮澤さんらは、この小さな粒を「マイクロ飛沫」と呼んでいる。せきやくしゃみで発生する大きな飛沫が直径0・02~0・05ミリほどなのに対し、マイクロ飛沫の直径はおよそ10分の1。軽いため、空気の流れに乗って一定時間空中を漂う。
こうした飛沫は「エアロゾル」とも呼ばれ、世界保健機関(WHO)は新型コロナについて、大きな飛沫による「飛沫感染」に加え、エアロゾルを吸い込むことによる感染も起きると認めている。
「大声出すほど増える」報告も
では、なぜ泡がはじけるときに飛沫ができるのか
新型コロナ研究とは別だが、東京都立大学の栗田玲教授(ソフトマター物理学)らが詳しく調べた論文が2月、国際専門誌に掲載された(https://doi.org/10.1039/D0SM02153A)。
栗田さんらは、せっけん液のように泡立ちやすくなる液体をつくり、高速度カメラで泡がはじける様子を詳しく調べた。薬品の飛散によるやけど防止などに役立てるのが狙いだ。
大きさ1~2ミリの泡に、針で突くなどの衝撃を与えて穴を開けると、液体が表面積を小さくしようとする「表面張力」によって、カメラでも捉えられないほど高速で膜が縮む様子が観察できた。縮んだ膜は時々ちぎれながら水滴(飛沫)となった。この水滴が近くの泡を次々に破り、無数の飛沫が飛び散ったという。
栗田さんは「体液にはたんぱく質などが含まれるため、せっけん液のように泡ができやすくなっていると考えられる。体内でも小さな泡が破裂し、小さな飛沫が生成されている可能性がある」と話す。
近畿大の宮澤さんら感染症の専門家も、細気管支などで破裂した泡のしぶきが人の吐く息の流れに乗り、体外に出ていることが新型コロナ拡大の一因とみている。
他にも、大声で話すほど吐き出される小さな飛沫が増えるという米国の研究者らの報告もある(https://doi.org/10.1038/s41598-019-38808-z)。
宮澤さんは「声を出せば気管や気管支内の空気が動いたり止まったりを繰り返す。気管支の奥では、振動で水滴を飛ばす超音波加湿器のように飛沫がたくさん出る」と話す。
会話やせきによって口から出た小さな飛沫がどのように漂って広がるかは、理化学研究所などのチームがスーパーコンピューター「富岳(ふがく)」を用いたシミュレーションで研究している。
通常の会話でも1分間に9千個
通常の会話でも、1分間で口からは9千個程度の飛沫が出る。会話も2~3分続ければ、せき1回の飛沫に匹敵する計算だ。小さな飛沫は空気の流れに乗り、10分間以上漂う。
富岳では、こうした飛沫を吸い込まない対策としてのマスクの効果も計算している。不織布マスクをつけると、マスクと鼻の間などに隙間があるため、小さい飛沫は一部吸い込むが、着けない場合に比べて吸い込む飛沫の個数は全体で3分の1に減らせる。
「目には見えないが、人間の周りには普段から、会話や呼吸で吐き出されたマイクロ飛沫が霧のように漂っている」――。近畿大の宮澤さんはそう解説する。「そしてマイクロ飛沫が他の人を感染させる主要な経路かどうかが、新型コロナと、インフルエンザの大きな違いだ」とも話す。
インフルエンザの場合、ウイルスはのどや鼻の細胞で主に増え、普段健康な人では肺まで到達しづらい。ウイルスを含む飛沫ができる場所ものどや鼻で、せきやくしゃみでできる比較的大きな飛沫が感染の原因となる。
一方、新型コロナは小さな飛沫に乗って漂い、健康な人でも吸い込むと肺の奥深くの細胞が感染する。
肺は少数の細胞が感染しても症状が出づらく「無症状」となりやすい。
こうした無症状患者の肺や気管の奥で粘液の膜がはじけることで、ウイルスを含んだ小さな飛沫が再び体外に出て感染を広げる。
宮澤さんによると、マイクロ飛沫による新型コロナ感染を示す事例として、米国のコロナ患者が入院する病室内で、直接せきやくしゃみが飛んでこない2~4・8m離れた地点で感染力のあるウイルスが見つかったとの論文がある(https://doi.org/10.1016/j.ijid.2020.09.025)。
ニュージーランドの検疫施設で感染が広がった事例でも、隣接する部屋で感染した人同士が直接顔を合わせず、2部屋のドアが連続して開いたことがあっただけだとして、マイクロ飛沫による感染としか説明できないとされているという(https://doi.org/10.3201/eid2705.210514)。
呼吸だけでも「感染ありうる」
新型コロナの場合、会話すらなく、呼吸だけでの感染もありうるのだろうか。
宮澤さんによれば、呼吸で吐き出すマイクロ飛沫の量は、
舌や声帯の動きを伴う会話時に比べると10分の1程度と考えられているが、「常に主要な感染経路ではなくても、換気の悪い部屋に長時間いれば呼吸だけでの感染はありうる。特に就寝時には窓を閉め密閉空間が続く。同じ部屋で寝ることが家庭内感染の一因となっているのでは」と話す。
では、どう対策をとればいいだろう。
宮澤さんは「マスクの正しい着用と十分な換気が重要だ」と話す。
マスクを外しやすく、換気の悪い飲食店などでは、マイクロ飛沫による感染が起きやすくなる。
中国・広州で昨年1月、窓のないレストランで食事をした10人が感染した事例が米国疾病対策センター(CDC)の専門誌に報告された(https://doi.org/10.3201/eid2611.203774)。
最初に症状を訴えた人と同じテーブルと、両隣のテーブルの人たちが感染した。いずれもエアコンの気流に沿う位置に座っており、空気と飛沫の流れが影響したとみられている。
宮澤さんは
「肺から出るマイクロ飛沫は小さなアクリル板や『咳エチケット』では防げない。
不織布マスクをほおに密着させ、
2方向以上の窓や扉を開けて空気の流れを作って、
漂う飛沫の濃度を下げることが大切だ」と話す。
(竹野内崇宏)
日常生活の注意点
感染リスクが高まる「5つの場面」とは?
政府の分科会は、感染拡大を防ぐために、感染リスクが高まる「5つの場面」を避けるよう呼び掛けています。
冬の感染対策で気をつけることは?
気温が低下すると、屋内での換気が不十分になり、感染が広がりやすくなります。密閉した換気の悪い空間では、「30分に1回以上、数分間程度、窓を全開にする」など、冬でもこまめに換気するようにしましょう。
感染した環境が屋内と屋外のどちらが多いのかを複数の研究から解析した結果、新型コロナは屋外での感染は10%未満であり、屋内の方が屋外よりも18.7倍高かった、とする報告があります。
症状がなくても他人に感染させることはある?
新型コロナで注意すべき点の一つは、自分が感染していることに気づかないうちに他者にウイルスを移してしまう危険性があることです。とくに発症する2日前から1週間が感染力の強い期間と見られているため、自分も感染しているかもしれないという意識を持って行動しましょう。
コロナ、家族にうつさないポイント
朝日新聞アピタルより抜粋 2020年12月29日
杉浦奈実 田村建二 辻外記子 瀬川茂子
新型コロナウイルスの感染拡大が収まらないなか、年末年始を迎えます。感染を防ぐためにどう心がけたらいいのか、感染が疑われたとき、周囲に広げないためにどう過ごすべきか、ポイントをまとめました。
予防で最も気をつけるべきなのは
例年であれば、年末年始は親しい人と集まって食事することが多い時期だ。しかし、会食は、新型コロナウイルスに感染するリスクが最も高い場面の一つだ。
マスクを外して食事をしながら会話することで、口からのしぶき(飛沫(ひまつ))に含まれるウイルスが伝わるケースが、代表的なパターンだとわかってきた。
米疾病対策センターは、ウイルスがついたものを触ることによる「接触感染」よりも、飛沫による感染のほうが重要だという見方を示している。
政府が年末年始に注意を呼びかける「感染リスクが高まる5つの場面」でも、「飲酒を伴う懇親会」「大人数や長時間の飲食」「マスクなしでの会話」が挙げられている。いずれも、会食に関わる項目だ。
久留米大学医学部感染制御学講座の渡邊浩主任教授は「今や全国どこでも感染の発生がない所はない。会食は少人数であってもしないほうがいい。なるべく人と会わないことだ」と指摘する。初売りや初詣など、人が集まる場所も避けるべきだという。
それでももし、会食をするのなら、なるべくリスクを下げるため、細心の注意を払う必要がある。
政府の新型コロナ対策分科会は、会食について少人数・短時間▽なるべく普段一緒にいる人と▽箸やコップは使い回さない▽席の配置は斜め向かいに▽体調が悪い人は参加しない――などと注意を呼びかける。
韓国では最近、飲食店内で6・5メートル離れた席にいて互いに交流がなく、滞在時刻も5分間しか重ならなかった人のあいだでウイルスが伝わったとみられるケースが報告された。
サイズの大きな飛沫の多くは2メートルほど離れれば床に落ちるとされているが、さらに飛沫が小さい粒子になると、しばらく空気中を漂い続ける可能性が指摘されている。店内の換気が不十分ななか、エアコンからの風に乗ってウイルスが運ばれたらしい。このため、換気をしっかりするのも重要だ。
近畿大学医学部の東賢一准教授(衛生学)は、「換気は夏と同じように継続した方が良いが、室温は18度以上に保つことを心がけてほしい」と話す。
18度以下では、特に高齢者で血圧が上がり、心臓や脳血管の病気を起こす危険性が高まるためだ。感染症に気をつけても、他の病気が増えてしまっては良くない。
東さんによると、大型商業施設や公共施設では、法律などで決められた換気量を確保できるよう設計されているため「必要以上に窓をあける必要はない」。ただし、集まる人が多くなれば必要な換気量に届かなくなる可能性もある。
部屋の中の人数にもよるが、窓を開ける場合は、1時間に2回、数分開けるとよい。開ける幅は10センチ程度でもよく、常時1~2センチ開けておくのも効果がある。対角線上を開けるのが望ましいが、難しい場合は一方向でも開けておくとよいという。
家庭では、室内の換気対策より、ウイルスを外から持ち込まないことがまず大切になる。大きく窓を開けると一気に室温が下がってしまうこともあり、必ずしも窓開けでの換気は、必要はないという。親戚などが集まって過ごすといった場合には、積極的に換気してほしいという。
湿度にも気をつけたい。空気が乾燥する冬は、飛沫が遠くまで漂いやすい。理化学研究所などのチームがスーパーコンピューター「富岳」を使い、せきのしぶきの広がり方を計算すると、湿度30%の場合は90%に比べて、1・8メートル先の人に到達する飛沫の数は約3倍という結果が出た。
政府は、寒い場所での換気の注意点として、加湿器を使ったり、洗濯物を室内干ししたりすることを挙げ、「適度な保湿」を呼びかけている。湿度40%以上が目安だ。(杉浦奈実)
新型コロナウイルス対策
(参考文献)森功次他:感染症学雑誌.80:496-500(2006)
感染症の基本
(国立国際医療研究センター病院より抜粋)
2018年11月
細菌とは
目で見ることはできない小さな生物です。一つの細胞しかないので単細胞生物と呼ばれます。細菌は栄養源さえあれば自分と同じ細菌を複製して増えていくことができます。人の体に侵入して病気を起こす有害な細菌もいます。一方で人の生活に有用な細菌も存在します(納豆菌など)。人の体には多くの種類の細菌がいて、皮膚の表面や腸の中の環境を保っています。
ヒトに病気を起こすことがある細菌として、大腸菌、黄色ブドウ球菌、結核菌などが知られています。
抗菌薬(抗生剤、抗生物質)は細菌を退治するための薬です。
抗菌薬が効かないもしくは効きにくくなった細菌のことを薬剤耐性菌といいます。これまでなら効くはずの抗菌薬が効かなくなると、感染症の治療が難しくなるだけでなく、手術の時や抗がん剤治療で免疫が低下したときの感染予防など、さまざまな医療が困難になります。
ウイルスとは
細菌の50分の1程度の大きさで、とても小さく、自分で細胞を持ちません。ウイルスには細胞がないので、他の細胞に入り込んで生きていきます。ヒトの体にウイルスが侵入すると、ヒトの細胞の中に入って自分のコピーを作らせ、細胞が破裂してたくさんのウイルスが飛び出し、ほかの細胞に入りこみます。このようにして、ウイルスは増殖していきます。 ヒトに病気を起こすことがあるウイルスとして、インフルエンザウイルス、ノロウイルスなどが知られています。風邪(普通感冒)はさまざまなウイルスが原因となります。 ウイルスは大きさや仕組みが細菌と異なるので抗菌薬(抗生剤、抗生物質)は効きません。抗ウイルス薬はまだ少数しか開発されていません。
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細菌とウイルス:大きさの違い(イメージ) |
政府が示した「新しい生活様式」を改めて取り上げます。どう実践していけばいいのでしょうか。家庭や職場での「新しい生活様式」について厚生労働省HPより抜粋いたします。
厚生労働省より抜粋
新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」が公表されました。
<新しい生活様式>
○5月4日、新型コロナウイルス感染症専門家会議からの提言を踏まえ、新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」を具体的にイメージいただけるよう、今後、日常生活の中で取り入れていただきたい実践例が示されています。
<専門家会議の提言>
○5月1日の提言では、感染の状況は地域において異なっているため、
1.感染の状況が厳しい地域では、新規感染者数が一定水準まで低減するまでは、医療崩壊を防ぎ、市民の生命を守るため、引き続き、基本的には、「徹底した行動変容の要請」が必要となる。
2.一方で、新規感染者数が限定的となり、対策の強度を一定程度緩められるようになった地域(以下「新規感染者数が限定的となった地域」という。)であっても、再度感染が拡大する可能性があり、長丁場に備え、感染拡大を予防する新しい生活様式に移行していく必要がある。
と指摘がありました。
○専門家会議では、これまでも、感染拡大を食い止めるために徹底した「行動変容」の重要性を訴え、手洗いや身体的距離確保といった基本的な感染対策の実施、「3つの密」を徹底的に避けること、「人との接触を8割減らす10のポイント」などの提案を重ねて呼びかけてきました。
○5月4日の提言では、5月1日の提言も踏まえ、新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」を整理しています。
○新型コロナウイルスの出現に伴い、飛沫感染や接触感染、さらには近距離での会話への対策 をこれまで以上に取り入れた生活様式を 実践していく 必要があります。これは、従来の生活では考慮しなかったような場においても感染予防のために行うものです。
○新型コロナウイルス感染症は、無症状や軽症の人であっても、他の人に感染を広げる例があります。新型コロナウイルス感染症対策には、自らを感染から守るだけでなく、自らが周囲に感染を拡大させないことが不可欠です。そのためには一人ひとりの心がけが何より重要です。
具体的には、人と身体的距離をとることによる接触を減らすこと、マスクをすること、手洗いをすることが重要です。市民 お一人おひとりが、日常生活の中で「新しい生活様式」を心がけていただくことで、新型コロナウイルス感染症をはじめとする各種の感染症の拡大を防ぐことができ、ご自身のみならず、大事な家族や友人、隣人の命を守ることにつながるものと考えます。
自分のため、みんなのため、そして大切な人のため。私たち一人ひとりが、できることをしっかりやっていく。それが私たちの未来を作ります。
お願い1:外出はできるだけひかえてください。
やむを得ず外出する場合には、 マスクを着用していただくようお願いします。 |
お願い2:「三密」(密集、密閉、密接)を避けましょう。
集団感染は、「換気が悪く」、「人が密に集まって過ごすような空間」、「不特定多数の人が接触するおそれが高い場所」という共通点があります。
できるだけ、そのような場所に行くことを避けていただき、やむを得ない場合には、マスクをするとともに、換気を心がけていただく、大声で話さない、相手と手が触れ合う距離での会話は避ける、といったことに心がけてください。
お願い3:咳エチケット(咳やくしゃみをする際、マスクやティッシュ、ハンカチ、袖、肘の内側などを使って、口や鼻をおさえること)や手洗いをお願いします。
新型コロナウイルス感染症は、罹患しても約8割は軽症で経過し、治癒する例が多いことが報告されていますが、高齢者や基礎疾患をお持ちの方は、重症化するリスクが高いことが報告されています。皆さまご自身を守るため、そして、大切な人を守るため、3つのお願いへのご協力をお願いします。
「免疫」は私たちの体を病気から守る大切な防御機能
ところが何らかの原因によって免疫力が低下したり、免疫反応に異常が起きたりすると、感染症にかかりやすくなったり、アレルギーやリウマチ、動脈硬化などさまざまな病気が生じやすくなります。免疫と病気の関係や、病気にならないよう免疫力を維持するコツなどについて、わかりやすくお伝えします。
1.免疫とは何か
病原体が体内に侵入した時、体はこれを「自己」とは違うもの、つまり「非自己」と認識し、排除したり拒絶したりしようとします。これが、免疫の基本的な仕組みです。
免疫には「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類があります。自然免疫は先天的に備わっているもので、マクロファージや好中球といった貪食(どんしょく)細胞*が、病原体などの異物に非特異的な攻撃を加えます。一方、より高度に発達した免疫である獲得免疫は、自然免疫では対応が困難な場合に作動します。体外から侵入した病原体などの異物を排除する働きをする様々な仕組みのうち、血液や体液の中に存在する免疫グロブリンというタンパク質を「抗体」と呼び、抗体が結合する相手のことを「抗原」と呼びます。
抗体は、抗原と結合することでその働きを抑える働きと、抗原を有している細胞を破壊する働きなどにより、私たちの体を守る免疫の中でも特に重要な役割を担っています。 獲得免疫の特徴は、過去に遭遇した抗原を記憶し、これに対抗するために特異的な攻撃をすることです。特定の抗原を記憶するのはリンパ球の働きによるものです。 こうした細胞のおかげで中には最大で数十年も記憶が保持され、その効果を発揮し続ける場合もあります。
例えば、「はしか」ははしかのウイルスによって感染しますが、一度かかると二度とかからないといわれます。 これは、はしかウイルスだけに反応する特異性を持つリンパ球が抗原を記憶し、はしかウイルスの次なる侵入に際して、はしかウイルスだけに反応する抗体を大量に産生し、これを速やかに排除するためです。 このようにして「疫病から免れる」仕組みが「免疫」と呼ばれるようになりました。
ワクチンの予防接種は、この免疫機能を応用したもので、感染症を未然に防ぐのに有効な方法です。 特定のウイルスにしか反応しないという特異性のため、「鍵と鍵穴の関係」に例えられます。
免疫は体外から侵入した病原体のみならず、体内で生じた癌のような異物からも身を守る極めて重要な役割を担っています。 しかし、人体に悪影響を及ぼすこうした異物は免疫の監視をくぐり抜けようと待ち構えています。 免疫不全の患者さんなどのように、免疫力が低下した状態が続くと、感染症や癌にかかりやすいのは、こうした理由からです。
*貪食細胞:真菌・細菌・死んだ細胞などを摂取し、消化(分解・処理)する能力を持つ細胞。
2.免疫力低下の原因と日ごろの心がけ
免疫力の低下の原因は様々ですが、主なものとしては、次のようなものがあります。
① 体温の低下 ② 加齢 ③ 不適切な食事 ④ 運動不足 ⑤ ストレス ⑥ 病気 ⑦ 免疫抑制薬
たとえ過ごしやすい季節であっても、急な温度変化に伴い、肌寒く感じることがあります。 体温の低下は免疫力が下がる原因のひとつです。特に寒さに向かうこれからの季節には、こまめな上着の着脱により体を冷やさないことを心がけることが大切です。
このほか、バランスのとれた適量の食事や適度な運動習慣を心がけること、またストレスをためないこと、ストレス解消に努めることも免疫力の低下を防ぐのに効果があります。
感染症対策には免疫力の低下を防ぐことに加え、マスク、手洗い、うがいの励行、インフルエンザや肺炎球菌には予防接種も有効です。
3.アレルギーと自己免疫疾患
免疫は異物から体を守る大切な仕組みですが、害の少ない異物に対して免疫系が過剰に反応してしまったり、自己の体内に存在する物質が異物と誤認されたりすることがあります。「アレルギー」や「自己免疫疾患」がこれに該当します。
アレルギーには広く知られているように様々なものがありますが、原因物質によっては血圧低下や意識障害を伴う急性・全身性の重篤なアレルギー反応である“アナフィラキシー”もあり、正しい知識を持つことと共に、十分な注意が必要です。
以上のように、免疫力の低下を防ぐことはたいへん大切なことですが、免疫力が高ければ高いほどいいというものでもありません。
特に「アレルギー」や「自己免疫疾患」は、免疫に関する専門的な知見を持った医師に相談し、適切な治療を受けることをお薦めします。
「免疫とは」-医学の知識- わかりやすい解説